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岩田榮吉の作品

 作品点描(6)
  オブジェ・人形と「蚤の市」


『…昔から興味のあった瓶とか、少し古いオブジェや人形を蚤の市に行ってはコレクションをして集めて、少しずつ静物を描くようになりました。1960年くらいからです。』

―『岩田榮吉画集』求龍堂 1995年7月 p.195の「岩田榮吉語録」より


岩田の作品には多くの人形や楽器、楽譜、時計、ランプ、トランプカード、花瓶や香水瓶、ガラス玉、古い革表紙の本などが登場します。岩田はこれらの品々を、蚤の市に出かけては丹念に見てまわりコレクションしていました。さらに岩田はそれらの古い品々を修復し繕い、ときには自ら新たに人形のドレスを縫って対話を重ねています。フィガロ紙のジャニンヌ・ヴァルノは次のように評しています。

『…この日本人の画家は、その生地の美術学校で教授たちの厳しい教えのもとに絵を学んだが、それに飽き足らずパリに着くとすぐにルーヴルに通った。そこでは17世紀の写実派の巨匠を研究した。彼はすでにデルフトのフェルメールや、静かな生活を描くオランダの画家達を知っていた。そしてこれらの巨匠のうちに、その技法を用いてオブジェを精密に表現すると云う共通の好みを見出した。しかし、岩田が私達に示すオブジェは日常生活のものではない。これらオブジェの選び方や、それらが絵の上でもつ不思議な地位は偶然の効果ではない。1枚の絵が仕上がるために数ヵ月要すると云うのも、それは彼の構図から生まれる神秘が長い間の熟考とひとつひとつの線の正確さに由来しているからである。…』
『…岩田が描くオブジェは、モデルとなったオブジェと向かい合っており、カンヴァスの上でのその描写はあまりにも忠実なので、これらのオブジェは鏡の中にうつし出された様に見える。しかしただこれだけであったならば、写実主義の領域に止まるに過ぎない。岩田はこの様にして事物の外観を越えて進み、想像と幻想の境界に迄私達を引き連れて行く。』

―『岩田榮吉作品集』(第2回個展-1977年東京セントラル絵画館-)図録より

岩田は、蚤の市に行っては、その絵画世界への入口を探していたのです。

「…しょっちゅうそういうものにふれておりませんと、アイデアが浮かびませんので、日本ではパリのノミの市のような骨董がないのでさびしいですね。」

-飯沢匡との対談より 「みづゑ1971年1月号」所収


「地球儀」
岩田遺品から「地球儀」


岩田の作品《ポルトガル礼賛》、《地球儀の静物》、《人形と角笛(トロンプルイユ)》、《子供の情景》などに登場しています。

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