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岩田榮吉の作品

 作品点描(10)
  《招待》


《招待》は岩田の東京芸大専攻科「伊藤廉教室」における課題制作作品で、その制作過程の詳細が、雑誌『アトリエ』1957年6月号の「東京芸術大学伊藤教室・政策研究記録」に収録されています。

伊藤教授の下、制作者は岩田榮吉、塚原堯、友田稔、豊田寿生(成)、師岡千鶴子、山脇真人の6名、期間は1年です。「実際の空間というものと、画面の空間との関係を考察すること」という課題に基づき、「モデルは二人、並んでたってもらいました。これは空間感についての説明の便宜のため…」という形で制作が進められます。以下段階を追って伊藤・岩田の言葉を拾ってみます。

構想のエスキース:
「…日頃どうも自分の絵には動きが乏しい止まってしまったような感じだと不満に思っていましたので、これには何か動きを出してみたいと思いました。」(岩田)

モデルの様々なポーズのクロッキイ:
「(ポーズが決まった後も)どのような構図の中で二人を組み合わせるかと云うことは全然頭に浮かんでいませんでした。…モデルと首っぴきで何枚もデッサンしている内に何か出てくればよいと全くの空頼みでした。」(岩田)

組み合わせの構想:
「縦長の長方形の平板を立てて、並べるとする。その平らな面の向きによって、二つの平板には、様々の異なった関係ができる。二つの関係が、様々なかたちの空間でもある。」(伊藤)

構図の試み:
「(デッサンと並行して書き始めた)下図では初め2人の人物だけで、2人の位置が左右逆でしたが、それを入替え、右隅に自画像を入れました。左端の人の両手が前で組み合わさると、後からでは、つまらないので、左手を挙げさせました。」「此の下絵を描きながら、2人の立つ位置は大体決められたのですが、手足の連絡、体全体の響き合いは全然把めず、此の事は後に50号にかかってから大変困りました。…3人一緒の背景を入れたデッサンを…何枚も試みるべきだったと思います。」(岩田)

構図の試み(続):
「(50号キャンバスにとりかかって)始め下図のまゝの寸法で人物を入れて見ましたが、人物があまり小さくなり過ぎると思い、左端の人を殊に大きくして左に寄せ、花のスペースを少なくしました。」「(人物2人については)自然の無理のない形ができかかると、静止した感じになり、自分で形を作りすぎるとわざとらしくなって仲々丁度よい所へ行き着けません。」(岩田)

制作仕上り:
「(2人3人の関係を)あれやこれやと考えている内に一つの情景が浮かんできました。その情景を大切にして、自分にとって、かけがえの無いものにまで高めながら、全体の構成を解決していこうと思いました。」(岩田)


この後1957年9月、岩田はパリに向け出発します。


《招待》 1957年

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