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岩田榮吉の作品

 作品点描
  ランプのモチーフ(その1)


岩田には、画集に収録されているものだけでも、《ランプの静物》というタイトルの作品が2点あります。ほかにもタイトルに「ランプ」を含む作品が4点、タイトルにはないが画中に登場する作品が5点…と、ランプは岩田の重要なモチーフとなっています。

ところで、ここでの「ランプ」とは、石油(灯油)を入れるタンクと、口金部に上下できる灯芯を備え、燃焼部をガラスのホヤで囲う構造の「石油ランプ」です。このタイプのランプが考案されたのは比較的新しく、19世紀前半ころと言われています。それまでは「ランプ」といえば、動植物系のオイルを用い燃焼部の囲いもない簡単なオイルランプでした。また、実用的な量産品石油ランプは明るいうえ燃料や部材のロスが少なく、ローソクを使う照明より安上がりな庶民の灯りとして広まりました。(このサイトの作品点描〜失われた時を求めて(その3 なぜ「レアリテ」か)で触れた「ランプピジョン」もその一つです。)


岩田の作品に登場するランプ


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「ランプピジョン」です。作品《ランプピジョン(トロンプルイユ)》(画集No.58)、《朝》(画集No.70)に登場します。創始者シャルル・ピジョンの意匠によるもので、1880年代以降フランスで広く使われ、様々なデザインのバリエーションがあります。作品《ランプと魔女》(画集No.29)には上の画像の取手なしタイプが描かれています。


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上左側は作品《ランプとガラス玉》(画集No.34)のランプ、上右側は作品《ランプの静物》(画集No.24)のランプです。オイルタンクとその下の台座部分、ホヤの形が先のものと違いますが、これらも「ランプピジョン」だと思われます。


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「アラジンランプ」です。作品《アラジンのランプ》に登場します。20世紀初め、アメリカのビクター・ジョンソンの考案により、特殊な金網状の「マントル」で炎を囲うことによって明るさを格段に向上させ、人気を博しました。


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作品《赤いカーテン(トロンプルイユ)》(画集No.20)、《ランプの静物》(画集No.89)、《三つの時計》(画集No.107)に描かれていますが、製造者・年代などは不詳です。


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ランタン型のランプです。作品《ヴィヴァルディ礼賛》(画集No.25)、《道化師》(画集No.56)に登場します。現在でも使われている灯油ランタンは、加圧により気化した灯油と空気の混合ガスを燃焼させ、マントルに当たって発光する仕組みですが、ここに描かれたランタンは、単なる石油ランプ型のものです。


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