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岩田榮吉の作品

 作品点描
  《岩田ナヲの肖像》(その1 発見)



この作品は、岩田榮吉の実姉の遺品の中から発見されました。この実姉こそ岩田の最大の理解者であり、先に没した実弟岩田が手許に残していた作品の多くを整理し、保存保管に意を尽くしていました。それにもかかわらず、この作品はそれらとまったく別の場所から、極めて悪い状態で発見されました。姉弟の実母・岩田ナヲの肖像であることは認められるものの、岩田の作であるかどうかをはじめ、手掛かりとなる記録の類がまったくありません。

また、この作品は、手紙・メモの類からもその存在を窺わせるものが見出せません。発見時の状態として、(1)支持体はキャンバスではなく板、油彩描画、(2)画面の保護ワニスなし、(3)裏面には、右上隅に紙ラベルを剥がした跡、中央にチョークの跡、(4)画面全体に塵埃等の汚れ・シミとカビ発生、(5)多数箇所に絵具の剝落・ひび割れ、(6)支持体の板に釘跡のような孔…が見て取れます。

さらに、画面左下隅に文字の一部らしいものが見えますが、判別できません。また、裏面の紙ラベル跡、チョークの跡は何らかの整理作業対象となった可能性を示しているようですが、詳細は不明です。モデルの人物、「発見」の経緯、描写の特徴から若いころの岩田の作である可能性は極めて高いように思われますが、判断は全体の修復を待たねばなりません。


修復後の《岩田ナヲの肖像》については 岩田榮吉の世界 「光の由来/影の行方」2023年10月14日(土)~2024年1月21日(日) に出品いたしました。是非ご覧ください。


「発見」時の《岩田ナヲの肖像》 表
「発見」時の《岩田ナヲの肖像》 表


「発見」時の《岩田ナヲの肖像》裏
「発見」時の《岩田ナヲの肖像》 裏


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