岩田榮吉の人物と経歴
人物点描
レアリテの画家たちと(その3 ダニエル・ソルノン)
ダニエル・ソルノン(Daniel Solnon 1943~ )がアンリ・カディウの率いるグループ「パントル・ド・ラ・レアリテ」(
人物点描~<パントル・ド・ラ・レアリテ>アンリ・カディウとの出会い 参照)に参加したのは1980年でした。岩田は1981年夏には発病帰国していますから、両人の直接の接点はごく短期間であったと思われます。しかしながら彼は、グループの先人たちの事績を深く理解し継承し、独自のアイデアを盛り込んだ作品に結実させる一方、グループの維持発展に大きな力を発揮しました。
ソルノンは、1989年にアンリ・カディウが他界した後グループを引継いだジル・カディウ(アンリの次男 1938~2019)らとともに、「トロンプルイユの悦楽」展(1993年/グランパレ 15日間で公称6.5万人観覧)を成功させ、2018年にはグループを「トロンプルイユ・コンテンポラリ・パントル・ド・ラ・レアリテ」に改編し、以降もフランスおよびドイツを中心に活動を続けています。
また、ソルノンの得意とするトロンプルイユ(シャントゥルネ)は、木板に描かれた一塊のオブジェを輪郭に従って切り抜いた態様で、背景がありません。例示の作品は、額縁なしで台上に展示されると、あたかもその台上に書物が積まれているかのように見えます。岩田が関心を持たなかったはずはありませんが、残念ながら作品を見ることはできません。
ダニエル・ソルノン《シャントゥルネ ‐ ジャック・ポワリエ》 油彩/板
(画中画はグループの大先輩にあたるポワリエの自画像)