人物点描
~第1回個展(その2 実現)
1970年秋、岩田の第1回の個展が開催されました。会期は10月27日(火)から11月1日(日)、会場は東京日本橋三越本店6階画廊、出品作品は5号から30号の油彩画30点でした。個展開催は時期尚早との感をもっていた岩田ですが、前年の一時帰国中におそらく周囲から強く勧められた結果、10号以下の新作に注力し、完成作の20号・30号を加えて構成したものでした。
図録には、学生時代の林武・伊藤廉両先生、渡仏後の知己・先輩であるレイモン・シャルメ(美術評論家)、アンリ・カディウ両氏が寄稿しています。図録冒頭の林先生の一文は次のような趣旨でした。「
評論家の説と画壇の流行に弱い」一般の日本の画学生の中で、学生時代の岩田は「
出発に於いて既に大人であった」が、本展の作品を見ても「
初発からの自主的な画心で貫かれて居るのを見て、理屈なしに、彼は成長している、これでいい、これでいい、そこには立派に近代があると思わされたのであった。」
「10号以下の販売しやすいもの主体」が主催者の希望でしたが、30点のうち10号以下は12点、20号までが10点、20号超が8点となり、10号超の方が多くなりました。しかし蓋を開けてみれば一部関係者の心配をよそに、数日で完売という人気でした。少しでも早く会場に到達し予約するには、開店後エレベーターで行くのが早いかそれとも階段を駆け上がるのが早いか…という人達もいたとか。
第1回個展のオープニングセレモニーで林武夫妻と