人物点描
パリに来るまで
『絵は子供の頃から描くのが好きで、中学の頃は父の友人中村新次郎先生のお宅に行って石膏デッサンとか静物、人物や風景を教わりました。その後、慶應に入って電気工学をやりましたが、父の勧めでどうしても学校は出ておいたほうがよいということで一応出て、卒業の年に東京芸大の油画科を受けました。入る前後から、寺田先生と久保先生にデッサンと油絵をみてもらいました。芸大に入ってからは、小磯良平先生がおいでになったので、1年、2年は石膏と人体デッサンを小磯先生に習い、3年になって…山口薫先生に教えてもらったわけです。4年から教室制度で分かれて、伊藤廉先生の教室に入り、その後、当時専攻科と呼んでいた2年間の勉強をして、1957年に修了しました。その年にフランス政府の給費留学生試験があって、受けたところ幸い合格したので、9月にパリにやってきたわけです。』
―『岩田榮吉画集』求龍堂 1995年7月 p.195の「岩田榮吉語録」より