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岩田榮吉の人物と経歴

 人物点描
  ボーピュイ《フェルメール家の岩田氏》


オリヴィエ・プレーズ・ドゥ・ボーピュイ(1953~)は晩年の岩田の友人です。トゥールーズ出身の彼は、レンブラントの模写で本格的な絵画芸術に目覚め、ロシア人画学者に絵画の古典技法を教わり、また、理学療法士の学校に通って人体の構造を学びました。岩田との出会いは彼が27歳、岩田が51歳の1980年、「モンマルトル・オ・ザルティスト」で岩田の隣にアトリエがあった彫刻家ポーラ・ビゾトコフスキー女史の紹介によるものでした。

彼は次のように語っています。「岩田は私と同じように情熱にあふれた人物で、私たちは二人ともフェルメールに傾倒していました。私は彼にフェルメールの贋作家として知られているヤン・ファン・メーヘレンについて話しました。岩田は私をアンリ・カディウに紹介し、コンパレゾンへの扉を開いてくれました。」「住んでいる場所が離れており、なお世代や時代の感覚が違っても、芸術に対する見方、考え方を共有しているような気がしていました。

彼の作品《フェルメール家の岩田氏》は岩田へのオマージュとして制作されました。画面右のカーテンは畳まれ、左やや上方に見覚えのある窓とそこから柔らかく射し込む光、梁の見える天井、市松タイルの床、テーブルには中東風のクロスが掛けられた室内、そこに《絵画芸術》の画中そのままの後ろ姿のフェルメールが、訪ねてきた岩田と作者のボーピュイを迎えて談笑しています。壁にはオランダ、フランス、日本の地図。そして岩田の楽しそうな顔。


オリヴィエ・プレーズ・ドゥ・ボーピュイ 《フェルメール家の岩田氏》 1984年
オリヴィエ・プレーズ・ドゥ・ボーピュイ 《フェルメール家の岩田氏》 1984年
油彩/板 47.0×33.5cm 横浜本牧絵画館蔵


横浜本牧絵画館の展覧会「岩田榮吉と恩師・畏友」(2022年10月~2023年1月)
の会場の様子。


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